韓国・慶州(キョンジュ)の中心部には、新羅の王都に築かれた古墳が数多く残されています。路東里(ノドンリ)古墳群と路西里(ノソリ)古墳群は、慶州市街地で新羅の墓制と出土品の歴史を知ることができる古墳群です。


現在は緑に覆われた丘のように見えますが、これらは新羅の墓制を伝える文化遺産です。古墳の規模や構造、副葬品から、当時の葬送文化、社会的階層、金属工芸の技術を考えることができます。
路東里古墳群|巨大な墳丘をもつ鳳凰台
路東里古墳群で最も目立つのが、鳳凰台(ポンファンデ)です。鳳凰台は、墳丘の上に樹木が生えた大型の古墳で、慶州市街地の中でもひときわ大きな存在感を示しています。



鳳凰台は、単独墳として築かれた新羅古墳の中でも最大級の規模をもつことで知られています。墳丘の高さや周囲の景観は、古墳が築かれた当時の権力と葬送儀礼の規模を考える手がかりになります。
ただし、鳳凰台に埋葬された人物について、確定した被葬者名は公的に示されていません。特定の王の墓と断定するのではなく、王族または高位の人物に関わる大型古墳として見るのが適切です。
路西里古墳群|金冠塚と瑞鳳塚
路東里古墳群の西側に位置する路西里古墳群には、金冠塚(クムグァンチョン)、瑞鳳塚(ソボンチョン)、壺杅塚(ホウチョン)など、発掘調査で重要な遺物が確認された古墳があります。

金冠塚|1921年に金冠が出土
金冠塚は、1921年に偶然発見され、その後の調査で金冠をはじめ、金製の冠飾、耳飾り、帯金具などの装身具や、さまざまな副葬品が出土した古墳です。
出土した金冠は、現在、国立慶州博物館などで新羅の金冠を代表する資料として紹介されています。金冠塚の被葬者については、出土品の内容から王族または高位の人物と考えられていますが、人物名は確定していません。
したがって、「金冠を埋葬した王の墓」と断定することはできません。金冠を含む豊富な副葬品から、新羅上層階級の葬送文化と金工技術を知ることができる古墳です。
瑞鳳塚|スウェーデン皇太子が調査に参加



瑞鳳塚は、1926年に発掘調査が行われた古墳です。この調査には、スウェーデンのグスタフ・アドルフ皇太子が参加しました。皇太子は後にスウェーデン国王グスタフ6世アドルフとなった人物で、考古学にも関心を持っていました。
瑞鳳塚からは、金冠を含む金製装身具やガラス製品など、多様な副葬品が出土しました。古墳名の「瑞鳳」は、出土した鳳凰形の装飾に由来すると説明されています。
壺杅塚|「広開土王」の銘文をもつ青銅器

壺杅塚からは、1946年の発掘調査で、器の表面に「乙卯年国岡上広開土地好太王」と読める銘文が刻まれた青銅製の器が出土しました。この銘文は、高句麗の王である広開土王、すなわち広開土太王に関係する資料として知られています。
広開土王は、4世紀末から5世紀初頭にかけて高句麗を統治した王です。銘文をもつ青銅器は、高句麗と新羅の政治的・軍事的関係を考えるうえで重要な資料ですが、器そのものが新羅古墳の正確な築造年代を直接確定するものではありません。
また、銘文の解釈や器が新羅にもたらされた経緯については研究上の議論があります。そのため、「年代を決定した遺物」と断定するよりも、当時の東アジア情勢と新羅・高句麗関係を考える重要資料と説明するのが適切です。
慶州路西里古墳群




古墳群を歩いて新羅の歴史を感じる
路東里・路西里古墳群は、慶州市街地の観光と組み合わせて訪れやすい場所です。古墳の周辺には歩道や緑地が整備され、墳丘を眺めながら散策できます。
近隣には大陵苑(テヌンウォン)や皇理団通り(ファンニダンギル)などがあり、古墳群の見学と博物館、飲食店、カフェを組み合わせた街歩きも楽しめます。
ただし、古墳は文化財として保護されています。墳丘に登ったり、立入禁止区域へ入ったりせず、現地の案内に従って見学してください。展示施設や周辺の管理区域を利用する場合は、施設ごとに開館時間、休館日、入場料が異なるため、訪問前に公式案内を確認することをおすすめします。
基本情報
| 項目 | 内容 |
| 名称 | 慶州・路東里・路西里古墳群 |
| 韓国語表記 | 경주 노동리·노서리 고분군 |
| 所在地 | 大韓民国 慶尚北道 慶州市 路東洞・路西洞一帯 |
| 時代 | 主に新羅時代の古墳群 |
| 主な見どころ | 鳳凰台、金冠塚、瑞鳳塚、壺杅塚 |
| 鳳凰台の特徴 | 大型の単独墳として知られる樹木に覆われた墳丘 |
| 金冠塚の特徴 | 1921年に金冠や金製装身具などが出土 |
| 瑞鳳塚の特徴 | 1926年の発掘調査にグスタフ・アドルフ皇太子が参加 |
| 壺杅塚の特徴 | 「広開土王」に関係する銘文入り青銅器が出土 |
| 観覧時間 | 古墳群の公開・立入条件は区域や管理施設によって異なるため、現地案内または公式情報を確認 |
| 入場料 | 屋外の古墳景観の見学条件と、周辺の展示・管理施設の料金は別に確認が必要 |
| アクセス | 慶州市中心部から徒歩または市内バスなどで訪問可能 |
| 見学時の注意 | 墳丘への登頂、立入禁止区域への侵入、遺構や植生を傷つける行為は禁止 |
| おすすめの楽しみ方 | 古墳散策、国立慶州博物館での出土品見学、周辺史跡との組み合わせ |
※古墳群の公開範囲、観覧時間、入場料、施設の運営状況は変更される場合があります。訪問前に慶州市または文化財・観光関連の公式案内をご確認ください。


コメント