釜山・東亜大学校 石堂博物館|国宝と釜山の近代史に出会える歴史博物館
釜山には、海雲台(해운대)や甘川文化村(감천문화마을)などの観光名所だけでなく、韓国の歴史や文化をじっくり楽しめる博物館もあります。
その一つが、釜山市西区の東亜大学校府民キャンパスにある**東亜大学校 石堂博物館(동아대학교 석당박물관)**です。
ここは、単なる大学博物館ではありません。
朝鮮王朝時代の貴重な文化財から、近代釜山の歴史、そして朝鮮戦争期に「臨時首都」となった釜山に関わる歴史まで、一つの建物の中で知ることができます。
さらに、博物館の建物そのものが、釜山の近代史を物語る歴史的建築物です。



歴史的建築物「旧慶尚南道庁舎」
石堂博物館を訪れたら、展示品だけでなく、まず建物にも注目してみてください。
現在の石堂博物館の建物は、1925年に建てられた旧慶尚南道庁舎の本館です。朝鮮戦争期には、釜山に移転した韓国政府の庁舎として使用され、現在は「釜山臨時首都政府庁舎」として知られています。
この建物は、1925年から1983年まで慶尚南道庁舎として使われました。1950年から1953年までの朝鮮戦争期には、釜山が韓国政府の臨時首都となり、建物は政府機能の一部を担いました。
その後、1984年から2001年までは釜山地方裁判所・検察庁庁舎として利用され、2002年に国の登録文化財第41号「旧慶尚南道庁舎」として登録されました。2009年には東亜大学校へ移管され、石堂博物館として利用されています。






つまり、この建物は、
日本統治期の道庁舎 → 解放後の行政・司法施設 → 朝鮮戦争期の臨時首都関連施設 → 大学博物館
という釜山の近代史を見つめてきた場所なのです。
なお、建物の正式な文化財名称と、朝鮮戦争期の役割を示す通称は区別して理解するとよいでしょう。文化財としては「旧慶尚南道庁舎」、歴史的な説明では「釜山臨時首都政府庁舎」と表記されます。
1959年に開館した釜山を代表する大学博物館
石堂博物館の歴史は1959年までさかのぼります。
1959年11月1日、東亜大学校中央図書館の3階に展示室を設けて博物館が開館しました。
その後、1966年に旧徳(구덕)キャンパスへ移転し、2009年5月19日に現在の府民キャンパスへ移転・開館しました。
「石堂(석당)」は、東亜大学校の創立者である石堂・鄭載煥(석당 정재환)の号に由来します。
東亜大学校の公式資料では、鄭載煥が収集した文化財を大学に寄贈したことが、博物館の収蔵品形成に大きく関わったと説明されています。
国宝・宝物など、貴重な文化財を所蔵
石堂博物館の大きな魅力は、大学博物館でありながら、国宝・宝物を含む多くの指定文化財を所蔵していることです。












ただし、所蔵点数や指定文化財の件数は、資料の作成時期や集計方法によって変動します。東亜大学校の入学案内などには、国宝・宝物を含む指定・登録文化財について「60件、約210点」とする紹介がありますが、これは掲載時点の情報です。最新の件数として断定する場合は、博物館または国家遺産庁の最新資料を確認する必要があります。
館内では、朝鮮王朝の宮殿文化を伝える絵画や工芸品、書画、民俗資料など、韓国の歴史を感じられるさまざまな文化財を見ることができます。
なかでも、特に注目したいのが次の文化財です。
国宝「東闕図」
石堂博物館を代表する所蔵品の一つが、国宝「東闕図(동궐도)」です。

東闕とは、現在のソウルにある昌徳宮(창덕궁)と昌慶宮(창경궁)を指します。
東闕図は、二つの宮殿と周辺の建物、庭園などを鳥瞰的に描いた大型の宮殿絵です。19世紀前半に制作されたと考えられており、朝鮮王朝の宮殿空間や建築、庭園の配置を知るうえで重要な資料です。
東闕図は、東亜大学校石堂博物館所蔵本と高麗大学校博物館所蔵本が、国宝第249-1号および第249-2号に指定されています。石堂博物館を訪れる際は、展示替えや保存上の理由により、実物が常時公開されているとは限らない点に注意してください。
朝鮮王朝の文化を伝える「刺繍草虫図屏風」
もう一つ注目したいのが、石堂博物館が所蔵する「刺繍草虫図屏風(자수 초충도 병풍)」です。

草花や昆虫を刺繍で表現した作品で、朝鮮王朝時代の工芸技術と美意識を伝えています。
ただし、制作年代や指定区分、展示状況は、博物館の展示案内や国家遺産庁の最新情報で確認するのが確実です。常設展示とは限らないため、これを目当てに訪れる場合は、事前に公開状況を問い合わせることをおすすめします。
安重根の遺墨も見逃せない
近代史に関心がある方には、安重根(안중근)義士の遺墨も興味深い資料です。
安重根は1909年10月26日、ハルビン駅で伊藤博文を狙撃し、1910年3月26日に旅順監獄で処刑されました。
石堂博物館には安重根の遺墨が所蔵されていますが、作品名、指定状況、公開の有無は展示や収蔵品の案内によって異なる場合があります。訪問時に必ず見られるとは限らないため、最新の展示情報を確認してください。
朝鮮王朝時代の文化財と近代史に関わる資料を同じ博物館で見られることも、石堂博物館の特徴です。
「臨時首都・釜山」を知る場所

石堂博物館は、朝鮮戦争期の歴史を知るうえでも重要な場所です。
1950年から1953年まで、釜山は韓国政府が置かれた臨時首都となりました。現在の西区・中区周辺には、当時の歴史を伝える場所が数多く残っています。
石堂博物館を見学した後には、
- 臨時首都記念館(임시수도기념관)
- 釜山近代歴史館
- 40階段文化観光テーマ通り
- 釜山民主公園
などと組み合わせると、釜山の近現代史をより立体的に理解できます。
石堂博物館の建物自体が臨時首都期を経験しているため、展示を見るだけでなく、「この建物がどのような行政機能を担っていたのか」を想像しながら歩くのもおすすめです。
日本人旅行者にもおすすめしたい博物館
石堂博物館は、釜山の定番観光地とは少し違った場所を訪れてみたい方に向いています。
特に、
「韓国の歴史をもっと知りたい」
「朝鮮王朝の文化財を見てみたい」
「釜山の近代史に興味がある」
という旅行者には興味深い場所です。
また、南浦洞(남포동)や国際市場(국제시장)、龍頭山公園(용두산공원)などからも訪れやすく、釜山の歴史観光を組み立てる際にも便利です。
外国人向けの日本語解説について
石堂博物館では、団体向けの展示解説を実施しています。
公式案内では、展示解説の利用には事前予約が必要とされ、解説の言語、所要時間、参加人数などは予約時に確認するよう案内されています。
外国人向けの英語・日本語解説についても、実施日時や対応可否が変わる可能性があるため、訪問前に博物館へ問い合わせるのがおすすめです。
石堂博物館の基本情報
| 項目 | 内容 |
| 名称 | 東亜大学校 石堂博物館(동아대학교 석당박물관) |
| 英語名 | Seokdang Museum, Dong-A University |
| 住所 | 釜山広域市 西区 九德路225(부산광역시 서구 구덕로 225) |
| 場所 | 東亜大学校 府民キャンパス |
| 電話 | 051-200-8493 |
| 開館日 | 火曜日~日曜日 |
| 開館時間 | 09:30~17:00 |
| 最終入館 | 16:30 |
| 休館日 | 月曜日、法定休日、大学創立記念日(11月1日) |
| 入館料 | 無料 |
開館時間、休館日、展示内容は変更される場合があります。特別展の準備期間や大学行事などで臨時休館となる可能性もあるため、旅行前に博物館公式サイトで最新情報を確認してください。
石堂博物館への行き方
石堂博物館は、東亜大学校の府民キャンパス(부민캠퍼스)にあります。
住所は、
釜山広域市 西区 九德路225
です。
南浦洞やチャガルチ市場方面からアクセスしやすく、周辺には釜山の近代史を感じられるスポットも多くあります。
博物館だけを目的に訪れるよりも、西区・中区の歴史観光と組み合わせて訪れると、釜山旅行をより深く楽しむことができます。
釜山ナビのおすすめ
釜山旅行では、海・グルメ・ショッピングだけでなく、韓国の歴史や文化にもぜひ触れてみてください。
石堂博物館は、
「国宝・宝物を見る」
だけではなく、
「歴史的な建物を見る」
「臨時首都だった釜山の歴史を知る」
という3つの楽しみ方ができる場所です。
特に、現在の博物館が旧慶尚南道庁舎であり、朝鮮戦争期には臨時首都関連の政府施設として使われたことを知ってから訪れると、建物の廊下や階段、展示室そのものにも歴史の重みを感じられるでしょう。
釜山の定番観光地を一通り訪れた方はもちろん、韓国の歴史や文化に興味のある方にもおすすめしたい博物館です。

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