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慶州・天馬塚(천마총)

大陵苑・天馬塚

慶州(キョンジュ・경주)の大陵苑にある天馬塚(チョンマチョン・천마총)は、古代新羅を代表する古墳です。

新羅の黄金文化と国際交流を伝える古墳

1973年の発掘調査では、金冠、馬具、装身具、土器、漆器、金属器、ガラス製品など、11,526点の遺物が出土しました。なかでも、白樺の樹皮で作られた馬具「馬褥(ばじょく/말다래)」に描かれた「天馬図(천마도)」が見つかったことから、皇南洞155号墳は後に「天馬塚」と呼ばれるようになりました。

発掘の経緯と古墳の構造

皇南大塚の調査に先立って発掘

発掘当時、天馬塚は「慶州皇南洞155号墳」と呼ばれていました。

1970年代、隣接する大型古墳・皇南大塚(황남대총)の発掘準備として、比較的小さな155号墳が先に調査されました。

1973年4月から12月までの発掘で、金冠をはじめとする大量の副葬品と天馬図の馬褥が見つかりました。出土品は合計11,526点にのぼり、新羅の古墳や葬送文化を研究する重要な資料となりました。

積石木槨墳の構造

天馬塚は、新羅を代表する「積石木槨墳(せきせきもっかくふん/적석목곽분)」です。

まず木製の部屋である木槨(もっかく/덧널)を造り、その中に遺体を納めた木棺(もっかん/널)を置きます。周囲と上部に石を積み、粘土などで覆った後、土を盛って墳丘を築きました。

天馬塚の木槨は約6.6m×4.2m、木棺は約2.15m×0.8mとされています。石や粘土で内部が守られたため、木製品、漆器、布、馬具なども比較的よく残りました。現在は、復元展示を通してこの構造を見ることができます。

被葬者について

金冠、金製耳飾り、金製腰帯などの豪華な副葬品から、被葬者は新羅の王族、または最高位級の支配層に属した人物と考えられています。

ただし、具体的な名前や、特定の王の墓であることを示す確実な記録は見つかっていません。

主な出土品と天馬図

金冠と副葬品

代表的な出土品は、国宝「天馬塚金冠」です。

高さ32.5cmの金冠には、「山」字形の飾りや鹿の角を思わせる立飾り、曲玉、金製の垂飾などが施されています。新羅の金冠を代表する華やかな造りです。

主要な金冠は、現在、国立慶州博物館で所蔵・展示されています。

このほか、金製冠帽、金製腰帯、耳飾り、金銅製の靴、武器、馬具、土器、漆器、金属器、ガラス製品、ガラス玉なども出土しました。ガラス玉は5,500点余りにのぼり、青色系を中心にさまざまな色が確認されています。

天馬図と馬具

天馬図は、鞍の両側に垂らし、泥や水の跳ねを防ぐ馬具「馬褥」に描かれています。

白樺の樹皮に描かれた翼のある動物が、空を駆ける馬のように見えることから「天馬図」と呼ばれました。

天馬図が描かれた白樺製の馬褥は2点確認されています。また、竹を編んだ基盤に布や金銅製の装飾板を加えた馬具も出土しました。これらは、新羅の馬具文化と工芸技術を伝える貴重な資料です。

国際交流と文化的背景

高句麗古墳壁画との関連

天馬図の表現には、高句麗の古墳壁画との共通点があると指摘されています。

ただし、これは文様や様式を比較した研究上の見解です。高句麗から直接伝わったことを示す証拠ではありません。天馬図は、新羅独自の制作と東アジアの文化交流の両面から考える必要があります。

ガラス製品から見る広域交流

天馬塚からは、青色系のガラス器や多数のガラス玉が出土しました。これらは、新羅が周辺地域だけでなく、広い地域と物資や文化を交換していた可能性を示す手がかりです。

ただし、天馬塚のガラス器を一律に「エジプト製」や「アラブの品物」と説明することはできません。製作地や伝来経路は、成分、技法、形などを個別に調べる必要があります。

一方、慶州の王陵級古墳から出土した一部のガラス器や西方系工芸品には、西アジアや地中海世界との関係を示す分析結果があります。こうした資料から、新羅が中国、中央アジア、西アジアなどを含む広域交流圏と接点を持っていたことがうかがえます。

天馬塚から分かる古代慶州の社会

天馬塚の出土品は、約1,500年前の新羅社会を伝えています。

  • 金冠:身分と権威
  • 馬具:騎馬文化と工芸技術
  • 天馬図:新羅の美術と東アジアの交流
  • ガラス製品:広域交流の手がかり
  • 積石木槨墳:新羅独自の葬送文化

大陵苑を訪れた際には、古墳の景観だけでなく、天馬塚の展示にも注目してみてください。黄金文化だけでなく、古代新羅と周辺地域とのつながりも感じることができます。

天馬塚 基本情報

項目内容
名称天馬塚(천마총)
所在地慶尚北道 慶州市 皇南洞262(경상북도 경주시 황남동 262)
所属大陵苑(대릉원)
古墳番号皇南洞155号墳
築造時期5世紀末~6世紀初頭頃と推定
墳丘直径約47m・高さ約12.7m
見どころ天馬図、積石木槨墳の構造、金冠・副葬品の展示
関連スポット大陵苑、皇理団通り(황리단길)、瞻星台(첨성대)、国立慶州博物館

観覧時間、入場料、展示内容は変更される場合があります。訪問前に、慶州市、大陵苑、国立慶州博物館などの公式案内を確認してください。主要な出土品も、展示替えや保存処理によって公開状況が変わることがあります。

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※本記事の内容は、現地の状況や掲載時期によって変更されている場合がございます。あらかじめご了承ください。
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